いやぁ……暑いですね!?(笑)
ちょっとでも涼むためにも、今回は怖い小説を紹介しますよ!
唐突ですけど僕はホラー小説が好きです。心霊とか都市伝説とか——怖いもの・不気味なもの全般が大好きです。
最近はそういう番組自体が消滅しかけているので寂しい気もします。それどころか、怖いCMとかにも苦情がいく時代なんですよね……。
だからでしょうか。ホラー小説の(僕の)需要は高まっているんです!
きっかけ
まずは「恐怖小説キリカ」を読もうと思ったきっかけなんですが。
元々この小説の作者・澤村伊智先生は、デビュー作「ぼぎわんが、来る」を読んで好きな作家さんでした。※こちらもホラー小説で、「日本ホラー小説大賞・大賞受賞作品」です。
「ぼぎわん」はシリーズ化しており、次の作品が「ずうのめ人形」というんですが、こちらも読了しています。
この「ずうのめ人形」が「ぼぎわん」と比べて、怖くなかったんですね。
無礼を承知で書きますが、「怖い文章」から「上手い文章」に変わっているように感じてしまったんです。
怖さに上手さはいらないんですよね。
名言ぽくないですか?(笑)
例えば、子どもの書いた絵日記とかに黒い影が描かれていたりするだけでも怖いんですよね。ここには上手さって介在していないと思うんです。文章も同じ、幼稚・未熟な文章はどこか不気味というか……。
上手い文章が怖いのは、殺人鬼が人間を解体している場面とか、いちいち描写がリアルだと効果を発揮しますよね。ただ、これは怖いというよりグロいに近いんです。
澤村先生は「ずうのめ人形」で作家の文章になってしまった。そう勝手に落胆した僕は、そこから澤村伊智作品から遠ざかりました。
そして、つい最近のこと。仕事中にこの「恐怖小説キリカ」を見つけました。帯には「ぼぎわんの舞台裏」「人間が一番怖い」といったようなものが書かれていました。
「ぼぎわん」は怪異——お化けや妖怪のようなものが登場するホラー作品で、人間の怖さを描いているものではありませんでした。
話は少しズレますが、僕が今まで読んできて一番怖かった小説は「黒い家」です。この作品以上に人間の怖さを描いている小説はまだ読んだことがありませんし、「幽霊よりも人間が怖い」と思うようになったきっかけでもあります。
「ぼぎわん」とは違うシリーズだけど、深い関わりを持つ作品で「人間の怖さ」をテーマとしている……だとしたら、読むしかないですよね!
長くなりましたが、これがきっかけでした。
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恐怖小説キリカ
注意:若干のネタバレを含んでいるかもしれません!
ここからは「恐怖小説キリカ」の感想とストーリーについて書いていきます。
まず感想なんですが……つまらなくはありませんが、面白くはなかったです。
ホラーでいう「面白さ」はそのまま「怖さ」と捉えてもらいたいのですが、怖くなかったんですよね。
そこが残念でした。ハードルを高くしすぎた(「黒い家」を基準にしていました)のも関係していると思いますが、やはり人間の怖さをテーマにしているとしたらその怖さが足りなかったし、どこかで見たような内容で新鮮さもありませんでした。
それでいてちょっと雑な感じもしたんですよね。この小説的にわざとそうしていることは理解できましたが、「そんなんあるか?」って心の中で結構ツッこんでいました(笑)。
「ぼぎわんが、来る」は、怪異をテーマにしているので霊能者や呪いのようなものが出てきたとしても自然と読めましたが、人間の怖さというリアルな恐怖を描く場合はツッコミセンサーも感度高めです。
特に【第二章 小説「長い長い妻の告白」香川霧香】は、ケータイのメールで文章を送ってきた形となっているのですが、これが本当に長いんですよ。
(いや、長すぎやろ。どんだけ時間かかったんやコレ。こんなん送られてきたらドン引きするわ笑)
みたいな感じで笑っちゃったんですよね。まあ、ホラーは笑いと紙一重みたいなところありますが、ここはちょっと掴みがコレだったので……。
ただ、良くも悪くも上手い文章ですので、殺人の描写は気持ちの良いものではありませんでした。とはいっても、流石に殺しすぎだしスグにバレるだろ……みたいなことは常に考えてしまっていました。
ストーリー
ストーリーについても軽く触れておきます。
「恐怖小説キリカ」は全三章で構成されており、それぞれの章で語り手が変わり時系列も前後します。
最も大きな特徴は、この小説が作者の実体験をもとに作られているという点です。主人公の名前は香川隼樹というのですが、この人物が日本ホラー小説大賞を受賞した所から物語は始まります。
つまり、主人公は小説家を目指していて見事デビューするのですが、デビューした際のペンネームが澤村伊智なんですね。受賞作品はもちろん「ぼぎわん」です。
このリアルで奇妙なリンクが本作品最大の恐怖を生み出しています。
作者の実体験部分はそのまま書いているでしょうからとてもリアルです(受賞の際の雰囲気、角川のビルに赴いた時、大物作家がそのままの名前で登場する等等)。
講談社から出ている作品ですが、初めは角川のことばかり描かれているのも面白いです(ぼぎわんシリーズは角川からの出版)。
明らかに嘘(小説)の部分は分かっても、それがどこまでなのかが曖昧で気持ち悪いんですよね。
特に最後の【あとがき】なんですが——ここもいわゆる普通のあとがきではなく、小説の一部となっており(本当のあとがきでもありますので、これで作品自体は終了します)ある体験を作者が語ります。
それは同じ物書きの世界にいる人からのメッセージなのですが、この話が本当か嘘か判断できないところが一番ひっかかりました。
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まとめ
作品自体は怖くないけど、読み終わった後の気持ち悪さが嫌だ——そんなホラー小説でした。
その気持ち悪さも、内容ではなく小説外での話になってくるのが不思議な感じです。
小野不由美先生の「残穢」などが似た怖さをもっているかなぁ、とも思いました。
なので……怖いもの好きでも好みは分かれるのではないでしょうか。
何回も書きますがそれほど怖くはない(内容自体は)ので、この夏ホラー小説に挑戦しようとしているにもオススメかもしれません。
それでは、今回はこの辺りで終わろうと思います!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
- 発売日:2019/04/16頃
- 著者/編集:澤村伊智
- レーベル:講談社文庫
- 出版社:講談社
- 発行形態:単行本/文庫本/電子書籍
- ページ数:400p
- 必要読書レベル:☆☆☆
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今回は自分の感想なので感情を多めに書いたんですが————。
これで僕も殺されるんでしょうか。
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