現代はもうディストピアなのかもしれない話

ゲーム

 「ディストピア」という言葉をご存知でしょうか。

 「ユートピア(理想郷)」とは反対の意味で、基本的にはネガティブな使われ方をします。

 特に近未来を舞台にしたSF作品なんかでよく登場しますよね。

 独裁国家だったり、完璧な情報管理社会だったり……大抵は❝個人の自由が無い世界❞が僕らの想像するディストピアって感じです。

 想像は出来てもまだ❝ちょっと先の未来❞――ではなくなっていたら?

 今回はとある「映画」と「ゲーム」から「この世界はとっくにディストピアなのではないか」といったことを書いていきます。

 厳密には違いますが、「都市伝説」みたいなものとして読んでもらえたら幸いです。

特に役立つ記事でもないですし、僕自身の死生観みたいなものも含まれるので読まれる方は注意してください

ゲーム「ゼノギアス」

「ゼノギアス」の一部のネタバレ、加えて、後述する映画のネタバレが含まれます!

 1998年に発売された名作RPG「ゼノギアス」。

 このゲームにはプレイした人をゾッとさせる屈指のトラウマシーンが存在します。

 それが『ソイレントシステム』です。

『ソイレントシステム』とは?

作中、主人公たちはとある研究施設に潜入します。

工場のようでもあり、缶詰が山積みにされていました。

主人公とヒロインはその缶詰を食べて空腹をしのぐのですが、主人公の師匠的存在のキャラクターだけはそれを口にしません。

そこから彼らは施設を進んでいくのですが、その道中で缶詰がどのように作られているかが分かるようになっていました。

最初は「何の肉だったのだろう?」くらいの軽い気持ちだったのが、生産過程が明らかになるにつれて様子は一変していきます。

最後の扉の前で主人公の師匠は、「あの食料を食べたことをちゃんと認識し、その扉を開けてください」と告げるのでした。

そこに広がったのは缶詰の原材料である❝肉❞が加工される前の姿。

それは、どこから見ても❝人❞にしか見えないものだったのです。

 つまり、『ソイレントシステム』とは❝人間の死体を食料として加工する❞事なんですね。

 恐ろしいですし、こんなのが現実であったとしたら大問題ですよね?それこそ正にディストピアです。

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 ここで注目してほしいのは『ソイレントシステム』という名称で、これはゲーム内で呼ばれる正式なものではありません。

 このシーンが「ある映画」と酷似しているため、ゲームをプレイした人から付けられたものなんです。

 その映画というのが「ソイレント・グリーン」です。

映画「ソイレント・グリーン」

完璧に映画「ソイレント・グリーン」のネタバレを含みます!読まれる方は注意してください!

 「ソイレント・グリーン」は1973年にアメリカで公開された未来のディストピア世界を描くSF映画となります。

 内容は以下を参照してください。

映画「ソイレント・グリーン」概要

止まらぬ人口増加によって世界規模での資源枯渇・格差拡大が問題となっていた。

肉や野菜などの食料は宝石以上に高価なもので、一部の特権階級以外は口にすることすら出来ない。

それ以外の人々は『ソイレント社』が提供する❝ソイレント・グリーン❞と呼ばれる合成食品の配給によって細々と生きながらえていた。

そして増え続ける人口を抑えるために、この世界では一定の年齢になると安楽死させられる。壮大で荘厳な音楽と映像が流れる中、老人はその人生を静かに終えるのだ。

刑事である主人公はとある殺人事件を追う中で❝ソイレント・グリーン❞が何で作られていたかを知ることになる。

❝ソイレント・グリーン❞の正体は、安楽死した人間の死体だったのだ。

 詳細は分かりませんが、上述の「ゼノギアス」は明らかに「ソイレント・グリーン」から着想を得ている感じしますよね。

 1973年公開なのに、今でもディストピアとして通用する恐ろしさがあるのも凄いところです。

 ……ただ、1970年代と現在(2022年)の価値観で考えると、1970年代はまだ「妄想・空想」の様な「ありえない世界」として楽しんでいたと思うんです。

 今はどうです?

 「ありえるかもしれない未来」に感じませんか?

 「ソイレント・グリーン」の原作小説に目を向けると、よりそれを感じるはずです。

 原作小説のタイトルは「人間がいっぱい」、物語の舞台は2022年です。

 人口増加はもちろん、貧富の格差も広がっています。

 ただ、僕が凄いと思ったのはまた別の所にありました。

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安楽死が強制される世界

 「ソイレント・グリーン」でハッと思わされたのが❝安楽死が強制される❞ことです。

 人口増加がこの世界の根本的な問題となっているのですから、そこを解決するための策としては理にかなっていると思います。

 もちろん❝安楽死を強制する❞点は肯定できませんが、選べるとしたら話は別です

 最初こそショッキングだった「ソイレント・グリーン」の内容が今はもう「こういう世界も悪くないのでは?」と思えるようになってしまいました。

 壮大な映像、荘厳な音楽……それらと共に生涯を静かに閉じるのは、人によっては❝最期❞の選択肢としてあって良いのではないか、と。

 それほどまでに現実に希望が無くなっているって事なんじゃないでしょうか。

 若い世代の「自殺率」、加えて「年金問題」というのは定期的に話題になります。どれも将来への不安が関係しているはずです。

 僕が物心ついた時から「高齢化社会」というのは問題となっていました。日本の人口は減っているのに高齢者は増えている……これは結局、若い世代(現役世代)の負担がこれからも増え続ける事でもあります。

 でも、ここで「ソイレント・グリーン」の様な❝一定の年齢になったら安楽死を選べる❞となったら?

 めちゃくちゃな考えですけど、負担は減る気はしています。

 大事なのは❝選べる❞ってところで、安楽死を選ばなかった場合は「以降の年金は貰えません」という条件があればもっと良いと思えてしまうんです。

 どっちにしろ若い世代の負担は減らせそう……そんな事を考える時点でもうディストピアじゃないですか。

おわり

 おそらく様々な意見があると思います。安楽死を反対する人も沢山いますし、お年寄りは大切にしないといけないと考えている人がほとんどでしょうし。

 それは僕らの世界が豊かになった証でもあります。全ての人が幸福になれる世界を目指そうとしているわけですから。

 でも、そこから生じた小さな小さな歪みが今やもう看過できないものとなって僕らの前に現われています。

 どうして僕が生まれた頃から少子高齢化は問題となっていて、未だに解決できないのか?

 みんな優しいから口にしませんし、口にしようものなら叩かれ除け者にされるのは想像に難くありません。

 結局未来へ問題を先延ばしていった結果が今です。

 このままだと、この歪みはさらに大きくなり本当の意味でのディストピアを形成するのも時間の問題でしょう。

 ――僕らの世界を破壊するのは、誰もが持つこの❝優しさ❞なのかもしれません。

 信じるか信じないかは、あなた次第です。

 

 副業としてブログを始めるものの❝177円❞しか得られていない男。

 「文章を書く」「本を読む」のが好きなのでブログは継続中。

 その他、【週刊少年ジャンプ】【Uber Eats 】【都市伝説】に関する情報を発信しています。

 ※Amazonのアソシエイトとして、当メディアは適格販売により収入を得ています。

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