日本人でありながら❝日本語で文章を書くこと❞が苦手という人は結構いるのではないでしょうか。
実際、夏休みの宿題で「読書感想文が嫌い」というのはよく聞きます。
僕はこうやってブログ記事みたいなのを書いていますけど、文章を書くのは難しいです。書くこと自体は好きなのですが、❝何かを伝えたり❞、❝分かりやすい❞……そんな文章って教わらないですし、あまり興味も持てませんでしたから。
ですが、ブログを始めて❝読みやすい❞❝読んで良かった❞と思われるような文章を書きたくなっていきました。
そんな時に読んだのが、今回紹介する「日本語の作文技術」です。
『文章を書くのが苦手』と思っている人には、メチャクチャおすすめの一冊です!
日本語の作文技術〈新版〉
- 発売日:2015/12/07頃
- 著者/編集:本多勝一
- 出版社:朝日新聞出版
- 発行形態:文庫
- ページ数:336p
- 必要読書レベル:☆☆
内容
小説のような「文学的」な文章の書き方でなく、あくまで「実用的」な文章を書くための技術を教えてくれます。実用的な文章の例としては、【論文】【評論】【解説記事】【新聞記事】が挙げられますね。
本書の目的はただ一つ、「読む側にとってわかりやすい文章を書くこと」これだけです。
読む前は真面目で難しそうな印象から読み切れるか不安でしたが、とても分かりやすく、なおかつ実用的な内容でした。
編集を重ねてきているとはいえ昔の作文技術がどこまで役に立つかとも侮っていましたが、そもそも文章を書く技術に古いも新しいもありません……めちゃくちゃ役立ちました!
後述しますが、『句読点のうちかた』『漢字とカナの心理』『段落』『文章のリズム』は特に良くて、読み終わった後は常に意識するようになりました。
句読点のうちかた
そもそも【句読点】とは何なのでしょうか?
恥ずかしながら、僕はこの「日本語の作文技術」を読むまで「あの点と丸でしょ」のように、漠然と捉えていました(どれが句点でどれが読点かさえ曖昧でした)。
以下、「日本語の作文技術」より例文を参考に書かせてもらいます。
「渡辺刑事は血まみれになって逃げだした犯人を追いかけた」
という文章ですが、これだと血まみれになったのは渡辺刑事か犯人か分からないですよね。
- 「渡辺刑事は、血まみれになって逃げだした犯人を追いかけた」→血まみれなのは犯人
- 「渡辺刑事は血まみれになって、逃げだした犯人を追いかけた」→血まみれなのは渡辺刑事
この時点で日本語の文章の難しさが出てきますよね。そしてまた分かるのは、『文章を書いた人の気持ち』もちょっと伝わります。上の例文だけを見ても「血まみれなのは犯人」と伝えたい人もいれば、「血まみれなのは渡辺刑事」と伝えたい人がいるわけで、そのためにテン(読点)をこの位置に打ったんだということまで考えられます。
たったこれだけの事で伝え方や分かりやすさが変わるのですから、句読点は常に意識していきたい重要な符号ですね。
マル(句点)については、テン(読点)と比べると打つ場所が限定的なのでまだ分かりやすいですが、軽視して良い物でもありません。詳しくは是非とも「日本語の作文技術」を読んでいただきたいです。
「、」「。」――日本語の文章でここまで奥が深い符号は無いと思いました。個人的に最初に感じたのは、読点は「読む」途中での息継ぎで句点は「一句(締めの点)」と考えたら理解しやすかったです。
漢字とカナの心理
漢字とカナのバランスについても書かれています。
日本語の文章は【ひらがな】【カタカナ】【漢字】の三種類で大体が構成されていますよね。この三つのバランスを考えるだけでも、作文技術は大きく上がることを教えてくれます。
これは作文のみならず、ブログ記事の執筆でも役立っていて、先に書いた【句読点】と同じくらいに気を付けたいところです。
簡単にまとめてしまうと、「どれか一つだけで書かれた文章は非常に読みづらく、伝わりにくい」ということなんですね。
例えば……ひらがなだけでかかれたぶんしょうはよみづらいですし、カタカナダケデカカレタブンショウモヨミヅライデスヨネ?
まあ、ここまで極端なものは無いですし、あってもワザとそうしていることが多いと思いますが。
僕が気を付けたいと思ったのは【漢字】の方で、なるべく漢字が重ならない文章を書くことを意識するようになりました。
その結果今腸内発酵が盛んになった。
「日本語の作文技術」内の文章から抜粋しています
という文章を読んだ時、少しだけ読みづらくありませんか?文章自体はそれほどおかしくはないのですが、僕は「結果今腸内発酵」の部分が気になりました。
漢字が重なっていますよね。これを少しだけ変えてみたら……
その結果いま腸内発酵が盛んになった。
「日本語の作文技術」内の文章から抜粋しています
こちらの文章の方が読みやすくないでしょうか?
「今」を「いま」に変えただけですが、漢字が重ならなくなっただけで大きく印象が変わりましたよね。
普通ならば「今」と書きますし、それが正しいです。しかし、場合によってはあえて平仮名で書いた方が、より伝わりやすくなります。
文法的にも間違っていませんし気にしすぎかもしれませんが、趣味でも仕事でも文章をたくさん書いている人は確実に気にしていると思います。
段落
「日本語の作文技術」では『一冊の本は一人の人間』という面白い例えを挙げています。
本を開いてみると、おそらくは【序章】とか【一章】とか【一節】とか……色々と見かけることがあると思います。これがそれぞれ人間で言うところの【頭】【手】【足】であり、そのそれぞれの章や節の「文章」が【髪の毛】であり【指】であり【爪】になるということですね。
「段落」とは改行――つまり、❝ある程度の文章を書いたら、それを一つのまとめとして区切り、また別の文章を書く❞ことですね。この「ある程度の文章」が、前述した【指】でいうところの〈小指〉等になります。
【爪】を作っている時、いきなり【指】を作ろうとしたら書いていた【爪】は剥がれますよね?痛いですし、これが【腕】とかだったらヤバいですよね?
段落の重要さはそこにあって、考えなしに改行すると文章自体にまとまりが無くなり、書いている人の思想は不正確で非論理的とまで言われています。
段落とはその本の作者の思想そのものであって、一行で改行する場合もあれば、本によっては一度も改行しない物まであります。
僕は、この「本=人間」という例えが凄く好きで、読んでいてもとても腑に落ちることばかりでした。「そろそろ改行するか」と……以前までは考えなしでしたが、「日本語の作文技術」を読んで以降は段落も意識するようになりました。
……ただ、ブログ等の文章における改行はまた特殊だったりするのですけどね(笑)。
文章のリズム
「日本語の作文技術」では、最後に『文章のリズム』についても書かれています。
こちらは作文が上手くなりたいだけならば気にしなくても良いのですが、文章を書き続けていると気になってくる所でもあります。
『文章のリズム』が何かというと、『その人にしか書けない文章』そのものだと思います。文豪と呼ばれる人達や芥川賞を受賞するような人たちの文章は唯一無二であり、それぞれに特長がある……と、なんとなくそう思いませんか?(笑)
しかし、実際その通りです。普通の人の文章と芸人の書く文章は絶対に違うはずですから。
文章の何が面白くて、何が心地よいと感じるのか……リズムというのはそこに大きく関係してきます。「日本語の作文技術」ではその❝何が❞を解説してくれているので、「基本的な文章は書ける」という人にもオススメですよ!
まとめ
- 句読点の打ち方
- 段落
- 文章のリズム
「日本語の作文技術」ではそのタイトル通り、日本語での文章作成について基礎的なことが学べました。文章を書くのが苦手な人にはもちろん、更に上手な文章を書きたい人にも役立つ一冊だと思います。
気を付けたいのは、小説のような文学的なテクニックではなく、いわゆる真面目な文章について書かれた本である……ことくらいでしょうか。ただ、基本や基礎が出来ていなければ魅力的な文章を書くのも難しいものです。
つまり、「日本語の作文技術」は誰が読んでも役に立つ。そんな本でした(笑)。
表紙も中身も真面目なのでとっつきにくく感じますが、読んでみればメチャクチャ分かりやすい上に全部に納得しちゃったんでスラスラ読み進められましたね。
こういった文章技術について書かれた本はよく読みますので、読んだらまた記事にして紹介していきますね!
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!
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