「ジャンプって、昔もっと面白かったよな……」
そのように思ってしまうジャンプ読者が最近ふえているのではないでしょうか?
ジャンプを20年読んでいる自分がまさにそんな感じ。
僕がまだ子供のころ、ジャンプを開くとそこは熱気あふれる少年漫画の最前線でした。
けれども、ここ数年ジャンプを開くたびに違和感が募る。
明らかに面白い作品が少ない──。
この感覚は僕だけのものではないと思います。
ではなぜ、かつて黄金時代を築いたジャンプがここまで“つまらなく”感じるようになったのか?
その理由に「推し」という感情が関係しているのではないか、と最近よく思うのです。
作品よりも「作家」を見る時代
SNSの発達もあり、現代の読者はかつてより遥かに「作家本人」を意識するようになりました。
Twitter(X)やInstagramを通じて、漫画家の考えや日常、制作現場の裏側までもが可視化される今、作品よりも「作家を応援したい」という感情が強くなっているように感じます(ジャンプだけでなく、漫画やアニメ全般そう感じてしまう)。
それが顕著に表れたと思ったのが、「休載」です。
かつてのジャンプでは、休載は「突然の病気や事故」などよほどの理由がない限り、あまり無かったように思うんです。
でも今は、計画的な休載──たとえば「月4週のうち3週のみ掲載し、1週は休載」──が常態化しています。
もちろん、作家の健康を守るためには必要な措置だとも理解できます。
しかし読者の側も、「休んで当然」「作者の体を最優先に」という空気を強く持つようになった気がするんです。
それ自体は優しさかもしれないけれど、その優しさがジャンプの“熱”を冷ましているのではないでしょうか?
新たな読者層と価値観のシフト
この「作家ファースト」の空気は、ある時期を境に急激に濃くなりました。
それが『鬼滅の刃』と『呪術廻戦』といった近年の看板作品のアニメ化です。
上記2作品はジャンプ連載中にTVアニメ化され、その爆発的ヒットにより一定のアニメファンがジャンプを読み始めるきっかけにもなったと思います。
その多くは、ジャンプを「漫画雑誌」としてではなく「自分の好きな作品(キャラ、声優、作家)をもっと知るためのツール」として手に取った――そのような人も多いはずです。
結果として、ジャンプの読者層は大きく変わることになります。
新たな読者は“作品の完成度”よりも“推し”に重きを置き、休載や批判に対しても敏感に反応する……彼らにとってジャンプは「推しの祭壇」であり、まともな批判であっても「攻撃」と認定されてしまいます。誰がそうしたとかでなく、世論のような形でそれが作られていったとリアルタイムで感じました。
今のジャンプがつまらないと思うのは、「作品の面白さ」ではなく「面白さを測る読者の視点が変わってしまった」からではないか。


面白さとは何か──読者が試されている
僕は「推し」を否定したいわけではありません。
推しは人を救うし、作品の寿命を伸ばす強い力でもあります。
しかし、作品そのものを冷静に読み、“面白いかどうか”を評価する視点まで失ってしまっては、本末転倒ではないですか。
ジャンプという雑誌は、作品同士がアンケートで競い合って面白い・面白くないと評価されていました。そこにあったのは、読者のシビアな視点だったはず。
編集部は読者や作家に遠慮してはだめ
ジャンプがつまらなくなったのは編集部にも原因がある、という意見もあります。
この辺りは僕は門外漢なので偉そうなことは言えません。しかし、そう思うことは確かに増えました。
作家に面白い面白くない、直した方が良いなど直接言えるのは読者ではなく編集部の人達なんですから。
それが言えないというのも分かるんですね。上でも書いたとおり、推しっていう感情が世論みたいなものを作り出しているので、ここを無視すると読者に色々言われるわけですから。
でも、そんなところに忖度していてはだめなんですよ。
ちゃんと「面白くないですよね」「このシーンってなんのために入れているんです?」「これ伏線ですか?」とか言ってあげてください。
だからこそ、編集部は漫画家には漫画のみを集中させるべきでもあります。
「実写化」「映画化」「脚本担当」とか多方面で才能を見せる漫画家もいますけど、それで本誌掲載がないがしろにされるんだったらさっさと止めさせて原稿のみに集中させてください。もしくは作品自体に幕を下ろさせてやらせるべきです。
編集部が悪いのか?
漫画家は週十何ページも描いて大変なんだ!命削っているんだ!編集部は作家を休ませろ!
と、このような意見もよくSNSで見かけます。これ自体は至極まっとう……ではありますが、じゃあ昔の漫画家はどうだったんだって話になっちゃうんですよ。
昔の漫画家ってこんなもんじゃなかったのでは?それこそ本当に命削って、面白い漫画描いていたはず。
その意気が今の漫画家に無いとはいいません。しかし、昔の漫画家が持っていなかったものを今の漫画家は持ってるじゃないですか。
デジタルツールって、昔のアナログ作画よりも時間とかかかっちゃうんでしょうか?ここも門外漢なので偉そうに語れませんが。
便利なツールってめちゃくちゃ増えたのにも関わらず、漫画家は楽にならなかったってことでしょうか。
おわりに──ジャンプにもう一度“熱”を取り戻すために
ジャンプを支えてきたのは、過酷な週刊連載に命を削って挑んだ漫画家たちと、それを読んで「これは面白い!」と率直に評価してきた読者であると、僕は思っています。
いま、後者の“評価軸”が揺らいでいます。
作家を応援する心は大切です。ですが、その優しさが作品の評価や雑誌の熱量を失わせているとしたら、それは考え直すべきではないでしょうか。
「推し」だけではなく、「作品」をもう一度しっかり見よう。
面白いかどうかは、その先にあるはずです。
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それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。X(エックス)もやっているので、良ければフォローしてくれると嬉しいです。
いま再び、「ジャンプとは何か?」を問い直すとき──。
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