【遊戯王OCG】『竜破壊の剣士』バスター・ブレイダーの悲しき過去を解説【バックストーリー】

ゲーム

 カードゲームのカードには、その世界観を感じてもらうため『フレーバーテキスト』という文章が存在します。
 遊ぶ上では一切知らなくても良い……本当に雰囲気づくりみたいな文章ですが、知っているとカード世界への没入感が高まり、より楽しめるようになっています。
 遊戯王OCGにもフレーバーテキストはありますが、❝通常モンスター❞にしか書かれていないのが現状です。
 ……しかし、遊戯王OCGはイラストを注意深く観察すると見えてくるストーリーが存在します。
この記事では、そのような「遊戯王OCGのバックストーリー」について解説していきます。

 今回は「バスター・ブレイダー」の過去を紹介します!

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バスター・ブレイダー 軽く解説

 バスター・ブレイダーとは原作で遊戯も使用した主力モンスターの一体で、遊戯王OCGでのモンスター効果は

効果モンスター
星7/地属性/戦士族/攻2600/守2300
(1):このカードの攻撃力は、相手のフィールド・墓地のドラゴン族モンスターの数×500アップする

 となっており、ライバル・海馬の主力モンスター「青眼の白龍」を倒せるようデザインされています。※「青眼の白龍」の攻撃力は3000のため、効果適用されていればバスター・ブレイダーは100の差でブルーアイズに勝てるというわけですね。

 また、遊戯の魂のカード「ブラックマジシャン」と融合し「超魔導戦士-ブラック・パラディン」の素材となる等の活躍も見せました。

 ただし、原作・アニメの両方で「ドラゴンを倒した描写が無い」ため、遊戯王プレイヤーからは不名誉なあだ名で呼ばれることもあります。

 そんなバスター・ブレイダーでしたが、2015年の10月17日に発売した『ブレイカーズ・オブ・シャドウ (BREAKERS OF SHADOW)』というBOXで多数の新規・サポートカードを獲得。これらのカードに描かれているイラストは「バスター・ブレイダーが竜破壊の剣士となるまでの過去」とも言われており、彼のバックストーリーを知る上では欠かせないものとなっています。

 では、イラストのみで語られるバスター・ブレイダーの悲しき過去とは?

「バスター・ブレイダー」OCGバックストーリー考察

以下に書かれているバスター・ブレイダーについてのストーリーはあくまで考察であり、公式から発表されているものではありません。

僕個人が「こうだったら良いな・かっこいいな」と思った考察をネットなどで収集し、まとめたものですので注意してください。

破壊剣の使い手ーバスター・ブレイダー

 ドラゴンに故郷を滅ぼされたバスター・ブレイダーは、ドラゴン討伐の力を得るために竜殺者ドラゴンキラーたちの下で日夜修行を行っていました。

 順調に力を付けるバスター・ブレイダーに、竜殺者は最後の試練を与えるのです。

竜殺者「バスター・ブレイダーよ、人に害なす蛮竜を討伐し奴らの仔を貴様の手で育ててみせろ。これが最後の試練だ」

バスター・ブレイダー「……納得はいかないが、それが最終試練だというならやってやる」

 蛮竜出現の知らせを受けたバスター・ブレイダーは、現地に向かい見事に蛮竜を討伐。さらにその仔竜を奪取するのでした。

 もはや並のドラゴンなど相手にならないほど強くなっていたバスター・ブレイダー。そんな彼の最後に残された試練が、まさかのドラゴンの子どもの育成……。

 手間と時間のかかる試練に頭を抱えつつも、バスター・ブレイダーと「破壊剣士の伴竜」の生活がはじまるのでした。

バスター・ブレイダーと伴竜

 ――雨宿りのなか、バスター・ブレイダーは蛮竜の仔の世話をしていました。

バスター・ブレイダー「まさか俺がこんな真似をするなんてな……こいつもこいつだ、やけに懐いてきやがって。親の仇だと分かっているのか?」

伴竜「?」

 純粋無垢な伴竜を見ていると、バスター・ブレイダーにある思いが湧いてきたのです。

バスター・ブレイダー(……もしかすると、俺が憎んでいたのはドラゴン族ではなく、❝人に害をなす❞蛮竜だけだったのか?だとしたら――)

 ドラゴン族とも共生できるのか?

 これまで考えもしなかった気持ちに、内心バスター・ブレイダーは驚きました。もしかすると、竜殺者はこれを教えたかったのだろうか?と、そう思えるほどに。

 その答えを自ら出すかのように、バスター・ブレイダーは再び伴竜に目を落とします。

 反応するように伴竜もバスター・ブレイダーを見上げてきました。綺麗な青い瞳に邪気は一切感じられません。

バスター・ブレイダー「……俺の修行は厳しいぞ?」

伴竜「??」

 それから月日は流れ――。

 バスター・ブレイダーの隣には立派に成長した伴竜の姿がありました。

 戦闘においても、状況によって立ち回りを変えるなど完璧なサポートもこなしていたのです。

バスター・ブレイダー(まさかこれほど成長するとはな……戦闘面で助けられた事も一度や二度ではないぞ)

 感慨深げに伴竜を見るバスター・ブレイダー。そこに、一つの影が歩み寄ってきます。

竜殺者「順調そうだな、バスター・ブレイダー」

バスター・ブレイダー「竜殺者か。……ああ、お前たちの最終試練も無事に終われそうだ。そうなれば俺も――」

 「竜破壊の剣士になれる」その言葉が口から出そうになって、バスター・ブレイダーはハッとします。

 ドラゴン族討伐のスペシャリストである「竜殺者」。彼らの奥義を与えてもらうために、バスター・ブレイダーはこれまで修練を積んできました。

 ですが、かつての様に心の奥底で燃えるような憎しみを、バスター・ブレイダーは持つことが出来ないでいたのです。

バスター・ブレイダー「意外だったぞ。あんたらが❝ドラゴン族と共生できること❞を最終試練として教えようとしているなんてな」

 その言葉を聞いた時、竜殺者の眼が妖しく光りました。

竜殺者「……何か思い違いをしているようだな、バスター・ブレイダー。そんな事が出来れば私達はとっくに廃業している」

バスター・ブレイダー「……どういうことだ?」

竜殺者「じきに分かる。じきにな……」

 それだけ言うと、竜殺者は去っていきました。

 竜殺者の言葉の意味が理解できず、バスター・ブレイダーはその場からしばらく動けませんでした。

 ただ、得体のしれない不安だけが心の中に残ったのです。

それぞれの宿命

???『GrrrrrrrrrOOOO!!!!』

 蛮竜の咆哮が轟いた時には、町は炎に包まれていました。

バスター・ブレイダー(何故だ……!どうして……!?)

 多くの蛮竜を倒してきたバスター・ブレイダーですが、現在その手に剣は握られておらず、何かに戸惑っているようでした。

竜殺者「どうしたバスター・ブレイダー!早くそいつを狩れ!」

 いつのまにか複数の竜殺者がバスター・ブレイダーと蛮竜の戦いを離れた場所で見届けていました。

 反応するように、バスター・ブレイダーの手が背中の破壊剣へと伸びます。

バスター・ブレイダー「くっ……!」

竜殺者「やはり出来んか?自分が育てたドラゴンを殺すことは!」

 そう、今バスター・ブレイダーの目の前にいるのは、彼が育ててきた伴竜だったのです。

 竜殺者たちの最終試練はただ蛮竜の仔を育てることなどではなく、❝成長し、人に害なす蛮竜へ変貌した時、己の手で始末をつけさせる❞ことだったのです。

 ……ドラゴン族に一切の情を抱かせないため。

竜殺者「出来ないならそれでも良い!その場合は我らで始末するまで!そうなれば貴様の命もここで断つ!ドラゴンを殺せぬ❝竜破壊の剣士❞など生きている意味が無いからな!」

 容赦の無い竜殺者の言葉にバスター・ブレイダーの気持ちも逸ります。

 最終試練に不合格となれば、これまで授けられてきた竜殺者たちの技術も返さなければなりません。それはバスター・ブレイダーがこの世から消えることのみで叶えられます。

バスター・ブレイダー(……やるしかない!あいつらに殺されるくらいなら、俺が……!)

 もはや猶予はありませんでした。バスター・ブレイダーは破壊剣の柄を強く握ります。

 ――『竜破壊の剣士』と『蛮竜』、それぞれの逃れえぬ宿命がいま交差するのでした。

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー

 バスター・ブレイダーの破壊剣がバスター・ドラゴンの体を引き裂き、バスター・ドラゴンは地面へ倒れこみました。

 その傍らでバスター・ブレイダーも力なく座り込みます。

竜殺者「……見込み違いだったか」

 竜殺者の視線の先には、バスター・ドラゴン。その体はまだ微かに上下していました。

バスター・ブレイダー(出来なかった……あと一歩が、踏み込めなかった……!)

 一太刀でバスター・ドラゴンを楽にしてやれなかったこと、自らの行動すべてが中途半端な結果になったこと……バスター・ブレイダーに戦う気力は残っていませんでした。

 まだ息のあるバスター・ドラゴンにバスター・ブレイダーは手を重ねます。

バスター・ブレイダー「せめてもの償いだ、俺もここでお前と運命を共にしよう……」

 竜殺者たちは容赦なくバスター・ブレイダー達に近づいてきます。

 しかしその時、バスター・ブレイダーとバスター・ドラゴン双方の体が光り始めました。

竜殺者「なんだこれは!?」

 あまりの眩しさに竜殺者たちも驚きます。

 ――ですが、その直後の光景は更に驚くべきものとなりました。

 それはバスター・ブレイダーとバスター・ドラゴンが融合した奇跡の姿、「竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー」でした。

 バスター・ドラゴンを思わせるような白い鎧に身を包み、破壊剣も大きく変化していました。

竜殺者「蛮竜と融合したと言うのか!?」

 驚いたのも一瞬、竜殺者はすぐさま戦闘態勢へ入り、バスター・ブレイダーを取り囲みました。

 対してバスター・ブレイダーは、竜殺者など眼中に無いかのように自分の体と破壊剣に目を向けていました。

バスター・ブレイダー「……まだ、俺に力を貸してくれるのか」

 バスター・ドラゴンと融合し、その意思もはっきりと分かるバスター・ブレイダー。そこに怒りや憎しみは一切ありませんでした。

 しかし、悠長に構えている暇もありません。四方から竜殺者達が襲い掛かってきます。

バスター・ブレイダー「悪いが、竜殺者……押し通るぞ」

 『破壊剣一閃』

 バスター・ブレイダーは竜殺者達を一瞬で蹴散らします。

 周囲にはもう誰もいません。

 これほど静かな時間は随分と久しぶりな気がしました。

 融合した力も徐々に失われていくのを感じます。

 バスター・ブレイダーに寂しさはありませんでしたが、ただ、虚しさだけが心に残りました。

バスター・ブレイダー「なんてことはない……元に戻る、ただそれだけだ」

 そう呟くも、それが叶わないことはバスター・ブレイダー自身がよくわかっていました。

 これまではドラゴンへの憎しみから竜破壊の剣士を目指していましたが、伴竜との出会いによりそのような感情は消えていました。

 さらにドラゴンではなく、竜殺者に破壊剣を向けてしまった今、自分はいったい何になれるのか?どうすれば良いのか?

 あのまま竜殺者に始末されていた方が良かったのではないか。

???「そんなことないよ」

 バスター・ブレイダーの頭に、優しい声が聞こえてきました。

「破壊剣士の守護絆竜」引用元

 自らと融合したはずのバスター・ドラゴン……かつての伴竜がバスター・ブレイダーの目の前に現れていました。

 その姿は実体ではなく、伴竜の魂そのものに見えます。

伴竜「君はその剣でたくさんの人達を守ってきたんだよ。僕はもう一緒には戦えないけど、僕の魂はこの剣に宿っているから、これからも沢山の人を救ってね――」

 引き留める間もなく、伴竜の姿は消えバスター・ブレイダーの体も元に戻っていきました。

 静寂の中、バスター・ブレイダーは破壊剣の柄を握ります。

バスター・ブレイダー「……沢山の人を救え、か。また難しい注文をされたものだ」

 ドラゴンらしくはないが、伴竜らしい言葉にバスター・ブレイダーは思わず笑みをこぼします。

バスター・ブレイダー「これからはそのように生きるのも悪くないかもしれない。竜破壊の剣士としてでなく、ただのバスター・ブレイダーとして剣を振るうのも……」

捕捉

 以上で「バスター・ブレイダーについての過去」についての紹介・考察は終わります。

 ここからは「どうしてそう思ったか?」のようなそれぞれの捕捉みたいなのを書いていきますので、興味があれば読んでみて下さい。

竜殺者について

 バスター・ブレイダーと一切関係ないのに出てきたのは、『ドラゴンに特化した効果を持った古参カード』だからです。

 竜殺者が初めて登場したのは1999年発売の「BOOSTER5」。むちゃくちゃ古いカードなんですが、遊戯王OCGはこういった古いモンスターなんかも最新のカードイラストに採用したりするので❝無くはない❞かな、と。

 また、「破壊剣一閃」のイラストもその一因です。

 「竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー」となったバスター・ブレイダーが、何かを攻撃してるんですが、その対象が竜殺者だったんじゃないかな?と。

 バスター・ブレイダー自身、あの姿に頻繁になれない。もしくは一度きりの奇跡だった可能性もあります。だとすると、それまで戦っていたバスター・ドラゴン以外の敵がいたことになります。

 竜殺者の下で修業→最終試練→バスター・ドラゴンを倒せず逆に竜殺者に始末されかける→その後バスター・ドラゴンと融合したバスター・ブレイダーに蹴散らされる

 という流れはけっこう自然なのではないでしょうか。

伴竜・蛮竜・守護絆竜について

 そもそもバスター・ブレイダーが戦ったバスター・ドラゴンは❝本当に破壊剣士の伴竜だったのか?❞って部分の捕捉です。

 まず「破壊剣士の伴竜」の属性と、「破壊剣-ドラゴンバスターブレード」の属性を見ると、光から闇へと変化してるんですね。「破壊蛮竜-バスター・ドラゴン」の属性が闇であることからも、❝伴竜が蛮竜となりバスター・ブレイダーと戦う❞という流れは確実でしょう。

 また、「破壊剣士の揺籃」のイラストにも蛮竜の姿を確認できますが、バスター・ドラゴンと姿が少し違います。伴竜とバスター・ドラゴンの翼はそれぞれ鳥の羽根の様な共通点があるので、これはもう確定だと思います。

 そういった経緯があるからこそ、最後は「破壊剣士の守護絆竜」となったと考えれば違和感は全く残りません。

 からへと、血の宿命には逆らえなかったものの、最後はとしてバスター・ブレイダーを支える……僕自身の「そうだったら良いな」という妄想も多く含みますが(笑)。

その後のバスター・ブレイダーへの期待

 このような過去を経て、バスター・ブレイダーは原作「遊戯王」で遊戯の主力モンスターとして活躍したと思うとなかなか込み上げてくるものがあります。

 その後は自分と同じ境遇(故郷をドラゴンに滅ぼされた)の人を助けていたら良いなと思ったわけなんですが、そもそもバスター・ブレイダーが竜破壊の剣士を目指した理由に「故郷をドラゴンに滅ぼされた」という設定はありません

 ならどうしてそのような設定を今回採用したのかというと、「竜角の狩猟者」「竜核の呪竜者」というモンスターの存在があります。

 「竜角の狩猟者」も「竜核の呪霊者」も同一人物で、前者のフレーバーテキストには❝ドラゴンによって故郷が滅ぼされた❞ことが書かれています。後者のフレーバーテキストには❝多くのドラゴンの返り血を浴びたことによって邪悪な竜核へと成り果てた❞とあります。

 『ドラゴンと因縁がある』『結末が悲しい』といった点から、いつかバスター・ブレイダーに救ってほしいと思い設定を使いました。

 また、「破戒蛮竜-バスター・ドラゴン」と「破壊剣士の宿命」のイラストには、炎に包まれる町の光景が後ろに確認できるのも大きな要素となりました。

おわり

 以上で遊戯王OCGバックストーリー考察「バスター・ブレイダーの過去」を終わります。

 思っていた以上に長くなってしまいましたが、それほど遊戯王OCGのイラストは考察できる部分があるという事ですね。

 あと、これを書いている間に「遊戯王マスターデュエル」が配信開始され、現在世界中で遊戯王がプレイされています!

 僕もプレイしてみましたが、めちゃくちゃ面白いです!

 デッキ構築や環境の対策も大事ですが、今回紹介したようなバックストーリーを知っていればよりデュエルは楽しめると思います。

 まだまだOCGバックストーリーは存在し色々と紹介していきますので、また読みに来てくれると嬉しいです!

 それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!

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 副業としてブログを始めるものの❝177円❞しか得られていない男。

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