音楽をよく聴きますか?
僕はあまり聴かないです。好きなアーティストもあまりいません。
ただ、退職をして間もない頃は、何かにすがりたかったのです。不安で怖くて先が見えなくて。そんな時、あるバンドの歌を聴き、その音楽にずいぶん助けられました。
今回はそのバンドと楽曲について書いていく、「音楽編」です!
筋肉少女帯
ちょうど「うしおととら」というアニメが放送されている時期でした。僕はアニメを観るのも好きでしたので、こちらも視聴していました。
その主題歌が、筋肉少女帯の「混ぜるな危険」でした。
筋肉少女帯というバンドは知っていたものの、その音楽を聴いたことが全くなかった僕は、ここで彼らの音楽性に触れることになります。
「混ぜるな危険」はアニメの主題歌として起用されているだけあって、カッコよく、すぐに好きになりました。こうなると、他の楽曲にも興味がわいてくるというもの。主に活動していた頃の楽曲を、全てではありませんが聴いてみたのです。
大槻ケンヂさんの歌と詩
衝撃でした(笑)。
なんて言えば良いのか分からないんですが……筋肉少女帯は、間違いなく初めて聴くタイプのロックバンドでした。
特に大槻ケンヂさんのあの歌い方や歌詞には魅了されてしまいました(笑)。「混ぜるな危険」で既に筋肉少女帯は知っていたはずなのに、印象は大きく異なったのです。
上手……ではないと思います。演奏が、ではなく(演奏は素人の僕が聴いても凄いと思いました!)、大槻ケンヂさんの歌い方が、です。
「上手に歌う人」の歌が聴きたいのなら、それこそ星の数ほどあるでしょう。その中で大槻ケンヂさんの歌と歌詞は唯一無二のものでした。(音楽をあまり聴かない)個人の感想ですが、「上手く歌う事はそっちのけ」という感じで、「とにかく伝えたい!この気持ちをお前に伝えたい!」そのような感情がビシビシ伝わってきます。つまり……
感動したんですよね(笑)。
それまでの筋肉少女帯の印象はイロモノのイメージが強かったんです。なんて言ったって「筋肉少女帯」ですからね(笑)。ヤバい人達じゃないか?って思っていました(笑)。
そのギャップからか、もしくは、不安な毎日を過ごしていたあの頃だからか、僕は筋肉少女帯が好きになり、毎日聴いていたのです。
ただ、ここまで書いてあれなのですが……。筋肉少女帯を知っていれば「そんなバンドか?」と思われる方もいるかも知れません。結局、イロモノのイメージというのは間違っていなくて、変な曲もたくさんあります(笑)。特に初期に発表した曲は、今でも「これを毎日聴いて、しかも他人に薦めてくる人はどうかしてる」と思うものもあります(笑)。
こんなこと書くとファンに怒られますね(汗)。
基本的に僕が聴いていたのは「レティクル座妄想」というアルバムから後の曲が多いです。この辺りの曲は聴きやすくて、優しいものが多い気がするんですよね。
※筋肉少女帯のアルバムは全てが名盤と言えるくらい素晴らしいので、曲名だけでも気になるのがあれば、ぜひ一度聴いてみてください!
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星座の名前は言えるかい
筋肉少女帯で最もリピートした曲が、「星座の名前は言えるかい」です。この曲ほど、寄り添ってくれる音楽を僕は知りません。
※以下、歌詞一部抜粋です。
”寂しいのかい? 大丈夫 僕も寂しいから。哀しいのかい? 大丈夫 僕も哀しいから。
やりきれないかい? 大丈夫 それ俺も得意。”
始まりの歌詞がこれです。すごくないですか?「寂しいのかい?哀しいのかい?」ときて、「大丈夫、自分も寂しいし哀しい。何なら君よりもそれ得意だぜ」って言うんですよ。
「がんばれ」「まけるな」「君ならできる」——こういった応援歌ならたくさん聴いたような気がします。このような歌を否定するつもりも無いですし、実際、やる気や勇気をもらっている人は多くいると思います。でもどこか他人目線というか……。
「星座の名前が言えるかい」は励ましたり、応援してくれたりしません。そばで話を聞いてくれる。そのくらいの距離感です。それが心地よかったんですね。
ただ、「星座の名前が言えるかい」が好きな理由はもう一つあります。
※以下、歌詞一部抜粋です。
”死にたいのかい? 大丈夫、僕も消えたいから。生きてたいかい? 大丈夫、僕も生きたいから。
決めかねるかい? 大丈夫、それ俺も得意。
だけど、ねえ 星座の名前は言えるかい?星の名前を言えるかい?”
「死にたいのかい?」という強烈なワードと、「僕も消えたいから」という同調。続く歌詞は、全く違う「生きたい」というものへと変わり、「どっちか決めかねるかい?」です。注目してもらいたいのが最後の歌詞です。
「だけど、ねえ。星座の名前は言えるかい?星の名前が言えるかい?この世界にはまだまだ俺たちの知らない事がたくさんあるよな。死にたくなるような世の中でも、まだ生きてても良いかもな」
そんな風に捉えちゃったんですよ!(笑)だって、星の名前も星座の名前も知らないんですから!
「死にたい=消えたい」としたのも、大槻ケンヂさんにとって「消える」って、筋肉少女帯というバンドを止めて音楽ももうやらないって意味に思いました。そんなことを歌詞に書いて僕らに聴かせてくれるって、有名人だろうが何だろうが悩みはみんなと一緒で、それが同じ目線で語られているようで嬉しかったんですよね。※あくまで個人的な解釈です。
否定もしない。応援もしない。ただ隣に座って話をしてくれる。責任感を押し付けてこない、その感じがあの頃とてもありがたかったのです。
ちなみに「星座の名前が言えるかい」は、筋肉少女帯の曲の中でもかなり聴きやすいので、誰にでもオススメできます!
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機械
「機械」は、誰にも理解されない科学者の男と、唯一彼を信じた女性(助手)の物語が歌詞となっています。
とてもかっこよくて好きな曲です。物語として完成されているので、普通に聴くだけでは特に何もなく「カッコいいな」ぐらいで終わるかもしれません。
僕は、歌詞のある一部分が当時非常に突き刺さったので筋肉少女帯の中でも好きな曲となりました。
※以下、歌詞一部抜粋です。
”今、二人が空へ向ける機械は 誰にも愛されぬ人の哀しみ”
この、「誰にも愛されぬ人の哀しみ」と耳に入ってきた瞬間に泣きそうになりました。この部分を自分に重ねてしまったのですね。
退職をして、毎日バイトして、この先どうなるのか・どうしたいのか、そんなもの一切分からずのその日暮らしで、見栄だけは一人前で親にも誰にも相談できずにいた僕にとって、この歌詞は突き刺さりました。
「誰にも愛されぬ人」とは自分のことだ。孤独で押しつぶされそうな僕みたいな人間を、この歌はちゃんと認識している。その哀しみをも理解してくれている。
それだけで救われた気になりましたね。
「機械」は色んな解釈が出来る歌でもありますので、歌詞にも注目して聴いてみてほしいです!
※他にも、漫画家の藤田和日郎先生(冒頭に書いた「うしおととら」の作者でもあります)がご自身の短編集で、この曲にインスピレーションを受けた作品を描いていたりします。
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サーチライト
詩人・大槻ケンヂの最後の叫びというか、出せるもの全てをこの一曲に出し切ったような、哀しさと熱意の両方を感じられる歌です。個人的には筋肉少女帯の応援歌だと思っています。
十分弱ある長い曲で、前半は大槻ケンヂさんの苦悩・諦観の様なものを。後半は聴いている僕らへのメッセージになっていて、語りかけるように歌っています。(個人的な解釈です)
※以下、歌詞一部抜粋です。
”サーチライトは 月の光と共に タイトロープを照らせ!”
”俺の歌とペンがサーチライトになるんだ 俺みたいになるなよお前は”
”お前の前に細い しかし、しっかりとした道がある 俺が照らすからお前が行け”
”サーチライトは 月の光と共にタイトロープを照らす!”
”もしも、お前が落ちてくたばったって ずっと照らし続けてやるよ だから行け さっさと行け”
”なんとかなる なんとかなる なんとかなる なんとかなるからさ”
”風鈴を鳴らして 待っていてくれよ 僕も後から行くよ いつまでたっても僕が来なかったら 君は君で あなたの好きなように どうか楽しくやっていてください どうぞ幸福にやっていてください 僕の事は忘れてあげてくださいね”
先が見えない毎日でも、この歌があったから僕は前に進めました。その道が正しいものでも間違っていても、サーチライトが照らしてくれる安心感がありました。
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まとめ
上記の三曲は、今でも聴きます。
歌でどうにかなるかは分かりません。でも、歌でどうにかなることもあります。
僕はなりました(笑)。
今が不安な人、人生に迷っている人 。
一度、「筋肉少女帯」を聴いてみてはどうでしょうか。
それでは、ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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