背が高い人を見た時、あなたはまず何を思いますか?
- バスケやってそう
- 強そう
- 怖そう
- 格闘技やってそう
僕が実際見たら、おそらくはこのようなことを思うはずです。
大なり小なり違いはあるかもしれませんが、大体の人は同じようなことを考えるのではないでしょうか?「第一印象」ってやつですよね。
では、「このなかに事件の犯人がいます!推理してください」みたいなことを言われた時、先ほどの例のように「〇〇そう」と簡単には決められないですよね?おそらくは慎重にその人を観察して「この人が犯人ではないか?」と、ある程度の自信をもって答えを決めるはずでしょう。
『簡単に決められる決定』と『簡単には決められない決定』
この二つの意思決定はどのように決まるのでしょう?その仕組みを理解した時、どんなことに利用できるのでしょう?
今回は、人の意思決定について書かれた名著「ファスト&スロー」を紹介します!
ファスト&スロー ~あなたの意思はどのように決まるのか~


- 発売日:2014/6月(上巻・下巻)
- 著者/編集:ダニエル・カーネマン、村井章子
- レーベル:ハヤカワ・ノンフィクション文庫
- 出版社:ハヤカワ書房
- 発行形態:文庫
- ページ数:446p(上巻)、427p(下巻)
- 必要読書レベル:☆☆☆☆☆
内容
「人の意思決定」について書かれた本となります。
自分では合理的で正しい判断を行っているようでも実は出来ていなかったり、その判断エラーが何故起こるのか――そのパターンや理由を行動経済学・認知心理学的実験を元に解説されています。
著者は心理学者にしてノーベル経済学賞も受賞しているダニエル・カーネマンです。
感想
……なので、文章自体は【翻訳】したものとなっています。海外の翻訳小説などが苦手な僕でも(それほど)違和感なく読めたと思いますが、それでも読みやすいか?と訊かれたら「NO」と答えます。
それ以前に「ファスト&スロー」が学術書や論文のような内容に近いため、それを訳した文章となるとかなり読み手を選ぶでしょうし、僕自身あと数回読んでも理解出来るかわからないといったところでした(笑)。
それでもオススメする理由としては、後述する『システム1』と『システム2』が特徴的で、なおかつ分かりやすかったからです。
この二つがどんなもので、どんな考えなのか……それを知るだけでも価値があります。

キッカケ
そもそも「ファスト&スロー」を読もうと思ったキッカケですが、以前紹介した「沈黙のWebライティング」内で取り上げられていたからです。
主人公であるボーンが
「ライティングのスキルを上げるためには読むべき一冊だ」
「この本にはオレのライティングの原点が詰まっている」
――「沈黙のWebライティング Webマーケッター ボーンの激闘」より
と絶賛しており、興味が湧き「いつか読んでみよう」と思っていました。
これだけ覚えればOK!「システム1」と「システム2」
可能ならば「ファスト&スロー」の全てを理解したいところですが、難しい場合は「システム1」と「システム2」が何なのかを知るだけでも十分だと思います。
この「システム1」「システム2」というのは、人間が『何かの情報を処理する際に作動する二つの思考』のことを言います。
システム1とは
たとえば冒頭でも書いた「背の高い人を見た時の反応」ですが、これを決定しているのが「システム1」でパッと見た時の簡単な判断が「システム1」の主な役割となります。
他にも赤色を見て無意識に「危険」だと思ったり、青色を見て「安全」だと思ったりするのも「システム1」が作動しているからです。
これが「ファスト&スロー」のファストというわけです。
システム2とは
「システム1」で判断が難しかった場合にゆっくりと作動するのが「システム2」です。最初に書いた「犯人が誰か当てる」みたいに、複雑な思考を伴う決断は「システム2」で行われます。
「システム1」とは反対で、意識的・論理的な思考となります。
「ファスト&スロー」のスローですね。
何に役立てられる?
で?
「システム1」だか「システム2」だか色々教えられたところで、何の役に立つの?って話ですよね(笑)。
キッカケのところでも書きましたが、「沈黙のWebライティング」の主人公は
「ライティングのスキルを上げるためには読むべき一冊」
とまで言っていました。※ライティングというのはそのまま、文章を書く技術と思ってもらって結構です。
これが非常に大事で、ブログを書いている人はもちろん、会社の企画会議・プレゼンのような場で役立てることもできます。
「システム1」を意識すると……
ネットの記事やブログ等、そして会議やプレゼンにおいて重要なのは『読んでもらうこと』『興味を持ってもらうこと』です。どれだけ良い文章を書いたり熱意をもって話したところで、誰も反応してくれなければ意味がありません。
なので「システム1」を意識するんですね。
人が記事を読んでくれなかったり、会議に興味を持ってくれないということは、そもそも「つまらなさそう」「めんどうくさい」と「システム1」が判断しているからです。
例えばスマホの画面いっぱいに文字がギッチリと詰まった記事を「読みたい」と思うでしょうか?
情報量が多い一ページ目よりも、「今からヤバいことを教えます」といったシンプルな文章やイラストだけのほうが、おそらく次のページへ行ってくれる確率は高いでしょう。
全ての入り口を簡単にする。
難しい説明なんかはその後、「システム2」が動き出してからでないと人間の頭には入ってこないってわけですね。
システム2を意識すると……
「システム2」は物事を論理的に理解しようとする思考ですので、本当に伝えたいことはここを意識しないといけません。
「システム1」は難しい判断は出来ませんでしたが、「システム2」は論理的で丁寧な説明であれば、多少複雑なことでも理解しやすくなるのです。
「沈黙のWebライティング」では【論理的な文章を構成する三つの要素】として
- 主張
- 理由
- 根拠
を挙げていました。
相手が何を疑問に思うのか、自分がその疑問に答える根拠がちゃんとあり、それを説明できるか。
これが出来ていれば、相手から「分からない」「伝わらない」と言われることは少なくなる……というわけですね。
まとめ
人の意思決定には
〇直観的にすばやく判断する「システム1」
〇論理的にゆっくり判断する「システム2」
この二つの思考が作用しており、僕達は無意識に、そして意識的に物事を決定している――「ファスト&スロー」はこれらの仕組みを解説している本でした。
正直な感想を書くと、めちゃくちゃ難しい本でした(笑)。途中からは、「何度も読んでやっと少し分かる」……それくらいの気持ちを持って読んでいましたね。
ただ、この本が理解できた時は実生活で大きな力となることは間違いないでしょう。
その核となる「システム1」と「システム2」について知るだけでも大きな価値があります!
「人の意思決定」について興味のある方は、是非とも手に取ってみてください!
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……途中から「沈黙のWebライティング」についての記事になっている感が否めませんが(笑)、それだけ「ファスト&スロー」の内容に触れるには今の僕では力不足でした。
「システム1」と「システム2」を意識した文章を心掛けるようにもなりましたが、まだまだ理解度が足りていません。
これから何回も読んで、分かりやすく読みやすい文章を目指していこうと思います!
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!


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